黒が似合うって…
それってもしかして自分が黒がいいからじゃない?
「そんなこと言ったってあたしはいつか染めます」
「勝手にどうぞ。
俺に止める権利は無いからね」
「……そうですよ」
蒼衣先輩に背を向けて歩き出したら小さな声だけど聞こえてきた。
「秋元さんには黒が似合っているのに…」
ちょっと残念そうな小さな声。
あたしには関係ナイ。
関係ナイ。
蒼衣先輩が「黒が似合っている」って言ったってあたしはいつか染めるんだから。
…………関係ナイ。
そういえば…片付けを初めてから今日はまだ1回も携帯見てないな。
メールきているかな?
カバンから携帯を取り出してみた。
「………一緒に帰れないんだ」
「福島?」
「うわぁっ!ビックリした~
………それより、急に人の後ろに立たないで下さい。ビックリしますよ」
「ゴメン、ゴメン。
“帰れない”って聞こえたから“福島”かなって思って声掛けたんだ」