目の前には教室よりはちょっと大きなドア。
今、あたしは図書館の前に居る。
知らなかったー。
こんな所に図書館があるだなんて……。
あたしはドアに手を掛け
そーっと開けた。
「失礼しまーす……」
室内はちょっと薄暗く、ほこりっぽい。
梓がいたら“絶対”怖がるね……。
夏休み明けに聞いた話だけど…… 梓は暗い所が苦手らしい。
今までどうして早く帰っていたのか最近わかった。
「すいませーん……」
誰も居ない図書館はちょっと、怖い。
カザガサと奥の方から小さな物音が聞こえる。
あたしは音がする方に足を進めた。
「すいませーん、今日から手伝う者ですけど……」
「…… はい?」
テーブルの上に沢山の本を並べている男の人が振り返った。
始めてみる人……。
「あの、今日から手伝う秋元 夏帆です。
よろしくお願いします」
やっぱり初めて会う人にはちゃんと自己紹介をしないとね……。