歩いて行くと、前方に人影が見えた。
歩道の端に座る、女子の四人組。

こんな道、通る人は少ないのに。
なんだか嫌な予感がした。


「あれ、羽柴さんじゃなーい?」
「あ、ほんとだぁ」
「奇遇だね。家近くなんだあ」


あ、昼間の子だ。
私の鞄に、泥を詰めた子。
いつも、教室の中央で堂々と喋っている子。


「何か用ですか」
「クラスメイトに敬語〜?変なのー」
「用がないなら、もう行くから」
さっさと切り上げたい。
…でも、それは叶わない。
「待ちなよ」
「何か」
「あんたさ、先生にチクったっしょ。あたし、そのせいで疑われたんだからね」

私は、そんなことしていない。
きっと見かねた周囲の生徒がやったんだろう。

「待てよ!」
「やめてもらえる?」
「お前生意気なんだよ」

肩を揺らされ、後ろに倒れかける。