私は、どんな手段を使ってでも逃れようとするような人間ではないけれど、やっぱり本能的に苦しくなるものだ。
そして毎日、ここへ帰って安心する。

目の前の少し古びたドアを見つめながら、私は思う。
ここは、世間から疎外されたような安心感があると。
こんな真っ暗な社会の中に、こんな場所があるなんて、と。

疲れた時でもそうでない時も、毎日ここへ変えることができるのだから、私は幸せ者だ。
たとえ、どれだけ傷跡が残っていてもだ。