「はぁ…」 零れる溜息が白く染まる12月。 恋人達が浮かれるこの季節の中 「クソっ寒い…」 こんなに口悪くボヤいている可愛げのない女は 私くらいではないだろうか。 雪原千穂。今年で20。学生。 いくら若くてぴちぴちの私でも 現実世界で彼氏と呼べるものがいたことは 0に等しい。 片手に握り締めたスマホに視線を移し 「はぁ…」 また溜息を吐き出したところで "今大丈夫?" なんてメッセージ。 私たちのこの微妙で曖昧な関係は いつからだったっけ。