〖杉本 結翔 様〗


病室の前に書いてある名前を見て、これは現実なんだと言われている気がした。


ノックをして、扉を開ける。


「…結翔」


本を読んでいた結翔は、私が呼ぶと顔を上げて、元々大きい目を見開き更に大きくさせた。


「…花瑠?なんで…?」


「お母さんに聞いた。」


「…そっかあ。」


ため息のような言い方に私は胸が苦しくなる。