***



9時までの時間が長く感じた。


バイトが終わり、僕は彼女を喫茶店まで迎えに行く。



「名前、聞いてなかったね」


「僕は、桜井です」


「苗字じゃなくて
名前」


「あ、名前は

優 です」


「優くん、ね。

私は、まゆっていうの」


「まゆ・・・さん」


「まゆでいいよ。

それに敬語やめよう」


「あ、うん」



まゆ・・・か。

いい名前だと思った。


それに、こんなに話しやすいと思わなかった。