「クリスマスに願いを……」

だいすきな、だいすきな、ママの手を握る小さなぼく。


だけど、ぼくはね……長くは生きられないの。



だけど、あいたかったの。



ママに会いたくて、がんばってあいにきたの。



「空、がんばって‼


ママ、頑張るからがんばって‼」



ママが、泣いてる。。


ママ、なかないでーー








ぼく、うれしかったよ。


数秒だけど、あえて良かったよーー




ぼく、ママにサヨナラした。




ママが、つらくなるからサヨナラした。



だけど、サヨナラしたあとも



ママは泣く。



どうして?


どうしてなの?



空の上から、ママを見てた。



ママ、泣いてる。


泣かないでーーママ。



がんばって‼




ママが、泣くとぼくも悲しいんだよ。


12月になって、クリスマスシーズン。


ママのお家をのぞいたら、大きなクリスマスツリー。


今日のママは、笑ってた。



「……………」



笑っててうれしいはずなのに、そこにぼくがいないのがさみしい。



この日、ママに会いたいと思った。


クリスマスが近づく度に、思う。


「サンタさん、ぼくの所にあいにきてね。


願いを叶えてください!」



「願いことは、なんだい?」



独り言の様なつぶやきに、答えたのはーー



「サンタさん。わー、きてくれたの?」


でもまだ、クリスマスじゃない。


「クリスマスになる前に、君のねがいを教えておくれ」



サンタさんはそう言いました。


「ぼくのねがいはね、もう一度ママのかぞくになりたい。



ママのそばに居たい。


ママに、あいされたい」



ただ、それだけだよ。


「大丈夫、またすぐ会えるよ」


サンタさんは言いました。



また、すぐ会える?



「ぼくのねがい、きいてくれる?」



「願い事は、もう叶ってるよ」





叶ってないよ、まだぼくここにいるから。


お空の上にいるからーーー


「ママ、たのしそう。


よく、笑ってる。


でも、よかった」


ぼくはね…うれしい。


だけどね…さみしい。



窓に立つママのお腹。



ママは、お腹をさする。



「また、すぐ会えるよ空」



えっーーーー?




ママーーーー?




お腹にあかちゃんいるの?



だけど、それはぼくじゃないよ。



ぼくはねここにーーー



光輝く空。



つむっていた目をあけるぼくの目の前に



大きなドア。