学校へは歩いて行ける距離だ。

まぁそう言っても時間はかかるけど。

花恋は自転車で行くのが嫌らしい。

10分くらい歩いたところで大きな声に呼ばれた。

「花恋ー!!桜庭!!」

あ!!あれは。

「拓真!!おはよ!!」

「おうおはよー」

「一之瀬くんも同じ学校だったんだね!!」

「そそ!!
...つかまた桜庭可愛くなったなぁ!!」

一之瀬くんが私の頭をくしゃくしゃなでる。

「わぁぁ」

「拓真ほんとお父さんみたい」

花恋が笑いながら言った。

「花恋に言われたかねーわばーか」

「ばかじゃないわばーか」

「あはは」

...多分、一之瀬くんは花恋が好きなんだと思う。

隠してるつもりみたいだけどバレバレ。

2人が付き合ってくれたら私も嬉しいなぁ。

そこからずっと3人で歩いていると学校に着いた。

「うわぁ...!!」

木でつくられた建物にとんがった赤い屋根、おしゃれな大きい門。

楽しみな気持ちと不安な気持ちが混ざる。

門に入れないでいると花恋が「ほらいくよ」って言って手を引っ張ってくれた。

門に入るとしばらく桜並木の道が続いた。

左に行くと校庭、右に行くと庭園があるみたい。

真っ直ぐ進むと正面玄関があった。

「あれクラスの表じゃね?」

一之瀬くんが背伸びしながら言った。

「見に行こ!!」

花恋は私を引っ張って表の前に連れていく。

心臓がうるさくなっているのが分かった。

私は人見知りだ。

花恋と同じクラスになれますよーに...!!

そう願っていると表の前に着いた。

自分の名前を探す。

桜庭...桜庭...あ、4組だ!!

「皆どーだった...?」

恐る恐る聞く。

「せーのでいおう!!せーの」

笑顔で花恋が言った。

『4組!!』

「え...!!ほんとに...!!良かったぁ...」

ほんとに良かった。2人も喜んでいる。

「それじゃあ行こーぜ!!」

一之瀬くんはいつもより一段と元気だ。
ふふ、花恋と同じクラスになれてうれしいのかなぁ。

笑いそうになるのをこらえて「うん!!」と言った。