「んっ...あれ...」

寝ちゃったみたい。

今何時...って、8時!?

どうしよう、ご飯食べてない...。

作る時間もないしコンビニでお弁当でも買おうかな...。

帰ってそのまま寝たから着替えもそのまま。

財布を持っていくだけで準備は終わった。

外はすごく暗くて怖い。

だからなるべく早く歩いた。

コンビニに行ってお弁当だけ買って帰っている途中、公園の桜が目に入った。

「わぁっ...きれい...」

昼の桜はよく見るけど夜の桜は今日が初めて。

夜桜っていうんだっけ?

すごいきれいでベンチに座ってしまった。

携帯持ってくれば良かったなぁ。

そんなことを思っていると公園の前を酔っ払いのおじさん達が通った。

こっち来ませんように...っ。

そんな願いは叶わず、おじさん達は公園に入ってきた。

おじさん達にバレないようにベンチから立って出ようとした時、腕を掴まれた。

「姉ちゃ〜ん、こんな夜にどうしたの〜?
家出かな〜?」

「ち、違いますっ...!!離してくださいっ...!!」

腕を振り払おうと思ったけど力が強くてなかなか離れない。

「おじさん達と楽しいことしようよ〜」

「やめて...!!やめてください...!!」

おじさん達の力はどんどん強くなっていき引っ張られてしまう。

涙目になりながらも必死に「誰か...っ」と叫んだけどその口もすぐ抑えられてしまう。

「んん...っ」

「可愛い顔してんじゃねぇか」

頬に涙が伝う。

どうして夜に出てきてしまったんだろう。

誰かっ.....!!

「おい、やめろよ」

口を抑えていた手はなくなり、私の腕を掴んでいた手はゆるくなった。

おじさんの腕を掴んでいるのは...。

「せ、瀬戸口くんっ...!!」

「おっさんいつまでそこにいるんすか?」

少し不機嫌な瀬戸口くん。

「うるせぇなぁ。邪魔すんなよ〜」

おじさん達はまた近づいてきた。

すると瀬戸口くんは「どっか行けって言ってんだよ」と言っておじさん達を睨んだ。

おじさん達は悔しそうな顔をしながら逃げていった。

「ありがとう...っ」

「お前ほんとめんどくさいな」

そう言って瀬戸口くんはどこかに行ってしまった。

そうだよね...。めんどくさいよね...。

涙が出続けて止まらない。

「ううっ...」

止まらない涙を拭いていると頬に温かいものを当てられた。

「いつまで泣いてんだよ」

瀬戸口くんが持っていたのは缶のココアとコーヒー。

「はい」

瀬戸口くんはココアを私にくれた。

わざわざ私のために...?