リノン「ここが403号室…」

モモ「静かですね…やっぱりここにも誰もいないのでしょうか?」

リノン・モモ「すみませーん誰かいますかー???」

2人でドアに向かって声を掛ける。
すると、

ガタッ


何かが落ちる音がした。
誰かは中にいるようだ。

だが、ドアが開く気配はない。その為、3人で部屋の中に入ることにした。

ガチャ…





リノン・モモ『お邪魔しまーす…』




3人はバスルームを通り、リビングを通って寝室まで行った。


そこには確かに人が寝ていた。



男女が1人ずつ、ベッドで2人寄り添うように。

周りには制服らしき服が乱雑に脱ぎ捨てられていて、ベッドで寝ている2人は服を着ていないようだ。













リノン(こ、これって、まさか…………)

そう思いながらそっとモモの両目を手で覆った。モモには手遅れだったようで、赤面したまま硬直している。




ベッドで寝ている女の方はキャメル色のフワフワロングヘアーでまつげも長く、綺麗な、本当に女の子らしいルックスだった。

一方、男の方は金髪、ピアス、首元には銀色のネックレスが光っていてシノとは正反対の雰囲気。一般的に言うならば『チャラそうな男』だった。











どんな経緯でこんな状況になっているのか、それは3人には全く分からなかった。















どれほど時間が経ったのか、まあそれでも2、3分だろう。ようやく3人は我に返った。

そして2人を揺さぶり起こす。


リノン「あっ、あの!す、すすすすみません!起きてください!」

5、6回女の方を揺さぶってついに目を開けた。

女「ん………んー。…………………………ふにゃぁ??……」

女の方は寝ぼけ眼でこちらを見る。数十秒経ったあと、自分がいる場所と隣にいる人、目の前にいる人を認識し、顔を赤らめながら焦りを見せた。

女「えっ?えっ?私…なんでここに…???っていうか、私、服着てない………………………………はっ!!!!!!!思い出した…」





その時、男の方も目を覚ましたらしい。
目の前にいる3人を見やるなり、硬直していた。

男「…は?なんで勝手に入ってきてんの???この状況見て察してくれないかなあ?…」


男は少し不機嫌そうだった。

リノン「ご、ごめんなさい…でも、中に人がいるみたいなのにノックしても返事がなかったから…」

シノ「お前ら、ここがどこだか分かっててこんなになってるのか?状況を分かってるのか?」

シノが少しキレ気味で問いかけた。

すると男はシノを睨みつけた。
しばらくそのままだったが、シノの冷たい真っ直ぐな目に顔を歪め、視線をそらす。


男「…チッ、くそ、悪かったよ。」

男は頭をかきながら謝ってきた。


シノ「…まあ、こんなことはどうだっていいんだけどな。そこの2人、着替えてついてこい。」

シノが少し不機嫌そうに命令してきた。
その態度に男はまたシノに突っかかってくる。

男「うるせえな。誰に指図してんだよ。」

2人は長い間睨みあっていたが、その空気に耐えられなくなったリノンが慌てて止めに入る。


そしてようやくその場が収まった。












8分後。

女「ご、ごめんなさい、遅くなってしまって……さっきはお見苦しい所をお見せしてしまってすみません…あ、私、萌黄(もえぎ)って言います。どうぞよろしくお願いします…」