ツルフワな毛並みを撫でると、茶々はゴロゴロと喉を鳴らした。超絶可愛い。
『さっき、ココへは来れないって……。アレはどういう意味ですか??』
「簡単な話だ。この温室は人の眼には映りこまん」
『え??』
「……朱里、お前は苦労する眼を持っているようだな」
茶々は閉じていた目を開ける。ブルーの瞳がキラリと光った。
「霊感、あるんだね」
茶々を撫でる手を止めた私の顔を、彼が覗きこんでくる。視線が合い、顔の近さにドキッと心臓が跳ね上がった。
『……小さい頃から……見えてた。誰にも理解してもらえなかったけど』
「まぁ、皆見えてないしね」
『うん。……お母さん、幽霊とかそういうの苦手だから凄く怒られた』
小さな頃の記憶は、今でも目を閉じると鮮明に浮かぶ。
“あそこに女の人は、いないでしょ!?”“嘘ばっかり言わないの!!”
自分にしか見えない、異様な姿のソレは幼い私のとって、恐怖の対象なわけで。でもそれ以上に、理解してもらえないことの方が、怖かった。