「これの事、見たよね」



彼の指差す先には、今も元気に動いている耳。見たよねというか、現在進行形で視線の先にあります。



『えーっと、まぁはい』



「これの事、秘密にしてね??」



言った所で、誰が信じるというのか……。私だったら、頭がおかしくなったんじゃないかなって心配するよ。



「人に喋ったら、取り憑くからね」



フワァッと眠そうに欠伸をする彼だが、言っている事は普通に怖い。取り憑くって。



『取り憑くって、幽霊なんですか??』



「幽霊じゃないよ、なんだか冷静だね??もっと大騒ぎするんだと思った」



『いえ、内心はパニックです』



えぇもう本当に。



「俺は、妖怪。化け猫」



『化け猫……』



アレとは毎日の様に追いかけっこしていたけど、妖怪なんて存在には会った事なかった。本当にいるんだなぁ……。