高校1年生の夏休み最終日
私は大切な人の前にいる
もう会えない人の前に……
ここは家から徒歩で30分歩いたところにあるお寺の横のお墓
その1つのお墓に私は花をいけて大切な人に話をしている
「あれからちょうど1年。すごく長い時間を過ごしたような感覚になるね……私高校生になって友達もたくさんできたよ。皆仲が良くて毎日楽しいよ……圭がいればもっと楽しかっただろうに」
私はそう言い首もとにかけているネックレスを強く握りしめた
ネックレスはあわい水色のクローバー
圭から貰った大切な物
「まだこれは返せそうにないや……」
私はそう言いはにかむように笑った
もしかしたらこのネックレスは一生返せないかもしれない
それでもいいと思っている自分がいる
圭はこの思いをどう思うかな……
私は考えていることを振り切りスッと立ち上がり目の前にあるお墓をみた
そこには西村圭と書かれているお墓がある
私はそのお墓に向かって
「また来るよ。じゃあね」
私はそう言い背を向け歩いた
それを誰かが見ていると知らずに
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俺は親から親戚が勤めているお寺に届け物をしてほしいと頼まれ今お寺にいる
「あら!悠司くん」
「あっこんちには」
俺は親戚の人に挨拶をし頼まれていた物を手渡した
「あっこれ!ごめんね悠司くん。わざわざ」
「いえ……」
「ありがとう!ほんと助かったわ!よかったらお茶でもどうかしら?」
「いえ、お気になさらず。では」
「そう?ありがとうね!」
俺は親戚のおばさんにペコッと頭を下げもときた道を戻ろうとした
ふとお寺の横にあるお墓を見ると俺のよく知っている人がいて驚いた
そこには水原莉奈がいた
俺の一目惚れの相手だ
入学式の時に初めて見た瞬間胸が高鳴った
すぐにこの高鳴りが一目惚れだと確信した
それからずっと無意識のうちに視線がいくようになった
少しすると話が聞こえてきた
「…………圭がいればもっと楽しかっただろうに」
水原はそう言い首もとにかけているネックレスを握りしめながら
「まだこれは返せそうにないや……」
そう言いはにかむように笑った
圭って誰だ?
なんで返せない?
俺は疑問に思いながら水原の帰っていく後ろ姿を無意識に見つめていた