お城について自室まで必死に走った。


最悪の事態に備えて作っておいた薬と必要な物を持って直ぐに部屋を出た。


国王陛下のお部屋の前には顔見知りの警備の男性。私を見るなり何も言わずに扉を開けてくれた。


勢いよく部屋に入るとジーン王子、ルネ王子、そして知らない男性がいた。今はゆっくり挨拶している場合じゃない。



「ベアトリーチェ!」

「薬室長!! 国王陛下は!?」

「状態はあまりよくない。 薬を増やしたいんだが、君の指示を仰ぎたい」



薬を握る手が震える。


国王陛下の優しい笑顔とパパの柔らかな微笑みが重なる。グッと唇を噛み締め、泣き出しそうになる自分に喝を入れた。



「オルセンさん! このお茶を人肌ほどの温度でいれて下さい! お薬を吸収しやすくする為の薬茶なので、淹れたら持ってきて下さい!」



オルセンさんに薬茶を渡し、国王陛下の寝室へ急いだ。


ベッドに横たわる国王陛下の顔は青白くなっていた。額には尋常じゃない汗をかいている。



「国王陛下!!」



苦しそうに胸を押さえながら、笑みを見せてくれる。私に心配をかけまいとしてくれる国王陛下のお心遣いに泣いてしまいそうになる。