「姉ちゃん、蜂屋と付き合うことになった」



熱も下がって日常が戻って来た頃、改まった様子で姉ちゃんが言った。
それはそれは照れ臭そうに、顔をゆでだこみたいに赤くさせて。

姉ちゃんのそう言う話を聞いたのは、初めてだ。
だから、聞く俺も少し気恥ずかしい。



「そ、そうか」

「うん。凛の事、ちゃんとしなきゃて思ってたし、今はそれどころじゃないって言い聞かせてたんだ。そういう私が、凛に余計な心配とか、自分のせいでとか思わせてしまってたって反省した」

「余計とか…」

「でも、今回いろいろあって考え直したの。私自身が幸せで、正直に生きなくちゃ、凛も幸せにはできないって」



そう言った姉ちゃんの顔はなんだか清々しくて。
スッキリとしていた。



「いいと思う。姉ちゃんの気持ち、バレバレだったし」

「ば、バレバレって!」

「姉ちゃん、だって、いつも蜂屋さんの話しかしないし」

「え…、そ、そうだった?」



無意識か。
でも、それだけ好きだったってことだよな。
姉ちゃんが素直に鳴れてよかった。