で、少しだけ時間が経ち、場所も移動して――現在、電脳革命クラブ部室。

「……智樹、これはどういう事だ?」
「俺に聞かれましても…………和音さん、無言で徐々に首を……締めるのは、止めて、くっ」
「ひゃあっ――智樹っ、いきなり何するんだよっ」

 頚動脈を的確に締め上げ、顔から血の気が引いていく俺――なんて冷静に解説をしている場合ではなかった。

 ここは一つ回避行動を取らなくては思い、無我夢中で伸ばした手が和音さんのマスクメロンを掴んでしまったようで、和音さんもまさかの攻撃に乙女のように可憐な悲鳴を上げていた(俺って結構失礼かな?)。


 ……上質の柔らかさ。


 思わずティッシュのコマーシャルを彷彿とさせる言葉が浮かび、手に残る感触を堪能しようかと思ったがロックの外れた首を廻して無事を確かめる事にした。

 まあ、生きているのだから無事なのは分かっているけど、まさかのピンクボムを喰らうとは夢にも思わなかった。

 俺も油断したものだ……ああ、首が痛い。

 だが、和音さんが虫の居所が悪い原因が分かっているので、すでに対処策は発動している。そろそろ来る頃だろうと思うのだが……。

「はあ、はあ……ふーっ。ふ、伏峰先輩、これでいいんですか?」

 噂をすれば何とやら、だ。

 息を切らせて部室に駆け込んできた律子ちゃんは大事そうに抱えていた箱を俺を差し出した。

「……んっ、これでいいよ。ありがとうね、律子ちゃん」
「い、いえ……えへへっ」

 差し出された箱を受け取ってお礼を言うと、嬉しそうに頬を綻ばせて笑っている律子ちゃん。

 恥かしそうに俺の顔を窺う律子ちゃんの頭を撫で、「珈琲お願いね」と告げようと思ったが律子ちゃんは分かっていたかのように「珈琲淹れますね」と言って小走りに行ってしまった。

「……何、ラブコメってんだよ」
「違いますよ。それより、これをどうぞ」

 ムスっと頬を膨らませて不機嫌な顔をしている和音さんの前に箱を置いて開いた。