「そうだ」
「では、俺はまったくもって無関係でこの場にいても仕方ない存在ですね?」
「ま、まあ……そうなるが」

 少々威嚇するように語尾を強めに睨みを効かせて言い放つと、リーダー格の男子生徒は一瞬たじろいだ。

「それではこの変態は置いていきますので、煮るなり焼くなり、ご自由に調理してください」
「あっ、ちょ――ともちゃん、後生だから見捨てないでっ」
「俺には関係ありませんので、あしからず」

 追いすがる女を振り払う男のようにズボンを掴んでいる部長の手を引き剥がし、俺は男子生徒達の間を通り過ぎようとした。

 だが――
「お待ちなさいっ、とおっ」
 俺の脇を颯爽と通り過ぎていき、気合の入った声で見知らぬ少し年上然とした男子生徒(多分、顔の質感から三年の先輩だと思う)に飛び蹴りをした女子生徒が一人。


 ……ピンクのレースでTバックですか。


 翻ったスカートから不可抗力で見えてしまった布地に少々面食らってしまったが、ここに来て面倒な人物が出てきたと言うのが正直な感想だった。

「汚らわしい手で翔様に触れないでちょうだい、下僕達っ」

 響き渡る女子生徒の声に恐れ慄き、一歩後退した男子生徒達は一斉にその場に膝を付いて頭を下げていたが、女子生徒はそんな男子生徒達には目もくれずに変態部長の前まで歩いていき、少し頬を染めて笑みを浮かべていた。

 そんな破天荒娘と対峙する部長の顔はランチタイムにばったりとライオンに出会ったウサギのように震え、青ざめた顔で動揺していた。


 ……中々、レアだな。


 今まで見た部長の顔でもレア度は最高に値するが、俺もこの人物は苦手なので関わり合いになりたくない。