目の前で天井を見上げてお腹を擦る和音さんを見ながら、俺は微妙な味がする海外製のお茶を啜っていた。
「いやあ、智樹は相変わらず料理が上手いな」
……初めて作りましたけど?
一応、料理は得意なのは和音さんも知っている事だが、和音さんに作ったのは初めてのはず。それなのに食べた事があるような話し方に違和感を覚えてしまうが、この人に何を言っても仕方ないか。
「伏峰先輩、キムチ鍋で作ったおじや食べますか?」
「え、いや……その、ねえ」
「あっ、大丈夫ですよ。ちゃんと味は整えていますから」
言うが早く俺の前に先ほどの鉄鍋を置いた律子ちゃんは『さあ、食べろ』と言わんばかりの顔をして俺を見つめていた。
……大ピンチかも。
俺の前に置かれた鉄鍋は先ほどの赤さから更に経験値(この場合は煮込み具合)がマックスまで達してレベルアップしたようで、鉄鍋の中は赤黒く地獄のような泡を噴き上げていた。
「おおっ……おいしそうだな、これ」
その匂いを嗅ぎつけたハイエナの如く、鉄鍋に顔を近づけてきた和音さん。
「いい匂いだな、これ」
「それなら好きなだけ食べてください。俺はお腹が空いてませんので、和音さんに全部あげます」
「本当にっ? やったーっ」
嬉々として小皿とレンゲを手に取った和音さんは、鉄鍋に手を伸ばした。
が――
「ちょっと待ったあっ」
そこにどこからともなく声が響いてきた。
「いやあ、智樹は相変わらず料理が上手いな」
……初めて作りましたけど?
一応、料理は得意なのは和音さんも知っている事だが、和音さんに作ったのは初めてのはず。それなのに食べた事があるような話し方に違和感を覚えてしまうが、この人に何を言っても仕方ないか。
「伏峰先輩、キムチ鍋で作ったおじや食べますか?」
「え、いや……その、ねえ」
「あっ、大丈夫ですよ。ちゃんと味は整えていますから」
言うが早く俺の前に先ほどの鉄鍋を置いた律子ちゃんは『さあ、食べろ』と言わんばかりの顔をして俺を見つめていた。
……大ピンチかも。
俺の前に置かれた鉄鍋は先ほどの赤さから更に経験値(この場合は煮込み具合)がマックスまで達してレベルアップしたようで、鉄鍋の中は赤黒く地獄のような泡を噴き上げていた。
「おおっ……おいしそうだな、これ」
その匂いを嗅ぎつけたハイエナの如く、鉄鍋に顔を近づけてきた和音さん。
「いい匂いだな、これ」
「それなら好きなだけ食べてください。俺はお腹が空いてませんので、和音さんに全部あげます」
「本当にっ? やったーっ」
嬉々として小皿とレンゲを手に取った和音さんは、鉄鍋に手を伸ばした。
が――
「ちょっと待ったあっ」
そこにどこからともなく声が響いてきた。