「おじょーちゃん」


不意に、そんな声が聞こえてきた。

どうやら、私を呼んでいるらしい。


「おい、ちょっと」

「ん…。何ですか、人が寝てるのに」

「ほい、コレ。お嬢ちゃんにあげるよ」


そう言って、隣のオジサンは飴玉を差し出してきた。


「ほれっ」

「いりません」

「え?遠慮しなさんな。ほれ、お食べ」


しつこいな、と思いながらも、私が仕方なくそれを受け取ろうとした時だった。

すぐ近くで、だめだ、という声がした。