杏香はじっと黙って俯いていた。
彼女はいつも、こういう時は何も言わない。
でも、ずっとそばにいてくれる。
言葉はないけれど、存在だけでもすごく暖かみがある。
それが、杏香だった。
私はそんな杏香の優しさに何度も救われてきた。
「梨香」
エリカが再び口を開く。
「あたしも杏香も、梨香の味方だからね」
「…うん。ありがとう」
エリカも杏香も、私の話を真剣に聞いてくれていた。
沈んでしまった空気を一掃するために、エリカが明るく切り出す。
「早く食べよう。じゃないと、先生来ちゃうよ」
「…うん!」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…