「…梨香、大丈夫?」

「え、うん」

「さっき見てたんだけどさ。
梨香、類くん避けてんの?」

「…うん」

「何で?避ける必要ないじゃんっ」

「でも——」


杏香とエリカには、全部話したかった。

全部、聞いてもらいたかった。

だから、全部話した。

私が類くんにエリカの話をしてしまったことも、それできっと嫌われてしまったことも、何もかも。

さっきトイレで聞いたことも話した。

最後は涙に呑まれて上手く喋れなかったけど、二人とも最後までちゃんと聞いてくれた。


「梨香」


こういう時、声をかけてくれるのはいつもエリカだった。