「だって小泉さん、昨日泣いてて…。
なのに、何にもできなくて」

「いや…あれは、違うよ。
それに、類くんは何も謝るようなことしてない」


私がそう言ってもなお、類くんはまだ申し訳なさそうな表情をしていた。

どうして、そんなに気にするんだろう。

私、どうって事ないのに。

類くんの用事はそれだけだったらしく、話が済むとすぐに教室へ戻ろうとした。

私は思わず、そんな類くんを引き止めてしまった。