「ただいま〜」

例の廊下をすり抜けて、こちらに入ってきたということは、えりかか澪だね。

がちゃりと扉が開いて、澪とえりかの2人が入ってきた。

「大変なことになってるぞ」

二人に会って開口一番、桜の言葉。

い、言っちゃうんだね?ちゃんと。

「大変なこと?」

「それって、なんですの?」

私の横に座る2人。私も絨毯の上に座る。

「あのな・・・・・・」

二人に今までのことを話すと、徐々に顔が強ばっていった。

「人違いってことは、ないの?」

「流石に同姓同名のやつが同じ学校にいるか?そもそも、2人の苗字はあまり見かけないしな。その可能性は薄い」

「意識不明の、重体・・・・・・」

「大丈夫かな・・・・・・」

4人でどっはあああぁぁぁぁああ〜〜〜〜〜〜〜、とため息をつく。

「県立病院に運ばれたから、行ってみよう」

「そうですわね。友達、ということで」

「所在を問われたら?」

「そうだな。ひとまずは親同士が同僚で揃って出張してるから一人ぼっちは安心出来ねぇ。だから、ルームシェアしてるって言っとけばいいだろ」

「万が一怪しまれたら、後々から記憶をいじればいいし」

「よしっ、行こう!」

私たちは必要最低限の荷物を持って、家を出た。暑い日差しが照りつけ、体が温まる。