「Volare!」

私は室内であることを忘れ、急いで魔法を唱えた。

「おいっ、落ち着け友香!」

焦った桜が私を静止してくれる。な、なんで・・・・・・

「なんで、桜はそんなに、冷静なの・・・・・・?」

桜は一瞬沈黙をする。そして、口を開いた。

「・・・・・・ここで、私たちが何をしても、二人がどうなるか、回復するかは分からねえんだよ。慌てても、焦っても、無駄なだけだ」

「・・・・・っっ」

途端に我に返った私は、急いで魔法を解除した。

ダメだ、私。桜にこうやってもらわないと、冷静になれなかった。王女、失格だよね。

これなら、桜の方が女王としての務めが務まりそー・・・・・・

「でも、どうして2人が?」

「分からねぇよ。今は、えりかたちと合流しておこう。もしかしたら、狙われるかも」

「あっ」

狙われる、その言葉で思い出した。

貴族のお嬢様方を、攫う。

これは、まだ序の口なのかもしれない。

私が、守らなきゃ。