樹への想いが、離れている間にも育ち続けて、それはあたしの心の中心から溢れ出す。

その事にずっと気付いてた。


樹が欲しくて

欲しくて

欲しくて……


毎日、樹との事ばかりが頭を過ぎる。

樹との会話ばかりが夢に出てくる。

樹の笑顔ばかりが……胸を締め付けたまま離してくれない。



たった3日なのに、

あたしの気持ちはどうしょうもなく樹でいっぱいで

樹しか見えなくて

樹だけが大好きで……


壊れそうだ。



「……忘れられる訳ないじゃん」


ぽつりとそんな言葉が零れた。

忘れるなんてそんなの――――……




「……何を?」

「っ!?」


急に聞こえてきた声に、あたしは慌てて顔を上げる。

誰かに向けた言葉じゃなかったのに、突然聞こえてきた返事に……その、声に――――……


「樹っ……」


あたしの視線の先には、駅へと続く道の壁に背中を預けて寄りかかる樹の姿があって……

紛れもない、樹の姿があって……


あまりの驚きに、思わず言葉を失った。


そんなあたしに、樹は「なに、その顔」と茶化して……壁から身体を起き上がらせる。


樹、だ……

樹だ。

樹だ――――……



あたしは、ただ目の前に立っているだけの樹の姿を見つめる事しかできなくて……そんなあたしを、樹も見つめていた。



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