とは言っても。
告白する勇気なんてそんなすぐ湧く訳もなくて……
大体にして、樹の家までの道があやふやだし。
……なんて、ちょっと怖気づいてるだけなんだけど。
だって……
告白、もそうなんだけど……もう一度樹に会うってだけで、あたしの心臓はやばいくらいにドキドキしてて。
あの笑顔に見つめられると思うと
あの声で名前を呼ばれると思うと
それだけで、胸が苦しくなって苦しくなって苦しくなって……しまいには潰されそうなくらい、とにかくやばい。
もちろん、会いたい。
会って、見つめて、『瑞希』って呼んで欲しい。
……だけど、会いたくない気持ちもあって。
振られるのが恐いなんて、柄にもなくビビッてて……
会いたい。
でも、会いたくない。
気持ちが、その2つの感情の間を揺れ彷徨う。
会いたい。
会いたくない。
……会いたい。
会いたく、ない……
会いたい。
会いたい……
会いたい――――……
恐い。
でも、それ以上に……樹に会いたい。
会いたいよ、樹――――……
放課後の教室。
掃除の終わった教室に、開けっ放しの窓から冷たい空気が流れ込む。
眠っていた感情を呼び起こすような清清しい空気があたしの背中を押しているようで……あたしはきゅっと口を結ぶ。
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