お母さんが苦笑いしながらパンをちぎって流美に食べさせ、口を開いた。


「美空…お父さんからの課題、終わった?」


瞬間、私は固まった。


(何で、聞くの…?)


(やめて、やめて…)


すぐに平然を装いながらパンを口に運んだが、背中に冷や汗が流れているのが分かった。


「も、もちろん…」


言葉が喉の奥でつかえ、軽くどもる。


「そう、良かったわ」


お母さんはにこりと笑みを浮かべ、コーンスープをかき混ぜた。


「お父さん、この前は3ヶ月前に帰ってきたんだよね…?」


私は恐る恐る確認する。


食欲が一気に無くなったのが分かる。


「そう。次帰ってくるのは半年後だったから…3ヶ月後ね。お父さんにきちんと言えるようにしないとね」


私は頷き、意識しながら口角を上げた。



「お姉ちゃんの、課題って何?」


ひとかけらのパンを飲み込んだ流美が無邪気に質問をし、お母さんが優しく答えた。


「お姉ちゃんはお父さんから、本当の幸せって何なのか、見つけてほしいってお願いされたのよ」


「幸せ?…流美、幸せだよ!」


流美が、きらきらと眩いばかりの微笑みを浮かべながらそう言い切る。


「あら、本当?」


「流美ねー、皆と居れるから幸せなの!でもね、もう1人のお姉ちゃんも居て欲しかったなー」