すぐにチャイムがなり、斎藤君が保健室を出ていった。



それを見計らって、私もベッドから抜け出した。


「もう良くなったのね。…辛くなったらいつでもおいでね」


優しい中村先生の言葉。


「はい。…失礼しました」


私も斎藤君の後を追うように、教室へと戻った。



休み時間の教室は、相変わらずがやがやと賑わっている。


目ざとく愛来が私を見つけ、駆け寄ってきた。


「美空、具合はどう?ごめんね、私があの時あんなこと言っちゃったから…」


愛来は、私の雪に関する事情を知っている。


「ううん、大丈夫。雪凄く綺麗だったね」


これは、本心だ。


愛来は私の顔を覗き込み、嘘をついていないと分かると顔いっぱいに笑みを広げた。


「でしょ!あの後、あんまりにも綺麗だったから、授業中断して皆で雪に関する話してたんだよ!」


「え、先生怒らなかった?」


愛来はふるふると首を振る。


「全く!」


愛来はぺろりと舌を出す。


「先生が1番熱弁してたよ!先生の雪に関する豆知識が凄くてさ」


私は、授業準備をしながら愛来の興奮した口調に耳を傾ける。


「特に凄かったのが、雪だるまの可愛い作り方!黒板に書いてくれて、ほんとに可愛かったの…」


「凄いじゃん…あ、チャイム鳴っちゃうよ」


「…授業準備してない!じゃあね、美空!」