昔とは違って、隅っこの方で眺めている方がよほどいい。


美花が居なくなってから、私はずっと美花に頼っていた事を思い知らされる。


美花が居たから、私は私でいられた。



この苦しみを、誰かと共有したい。


出来ないと分かっているけれど。


とは言っても、私は事故直後、愛来に話を聞いてもらっていた。


親や先生にこの辛さを分かってもらおうとするよりも、愛来となら話さなくても全て伝わっていた。



退院してから、ショックでしばらく学校に行けなくなった時。


苦しくて、何かを言葉にしただけで心が壊れそうな時。


愛来は毎日の様に私の家に通い、ただそばに居てくれた。


そんな愛来に、自分の言葉で今の自分の心境を伝えられたのは、それからもっとずっと後のこと。


一緒に泣いて、一緒に苦しんだ。



けれど、時間が経つにつれ、


(もしかしたら、私が今の心境を言葉にして伝える事は、愛来にとっては迷惑なのかもしれない)


と思うようになっていった。


だから、美花のことを思い出してどれだけ辛くなっても、悲しくなっても。


愛来に傍にいて欲しくても、我慢してきた。


愛来に余計な心配をかけたくなかったから。



悪いのは、全て私。


いつだって、そう自分に言い聞かせる。