「ねえちょっと、聞いてるの?」


突然机を揺らされ、頬杖をしていた私ははっと我に返った。


「あ、考え事してた…」


「人の話は最後まで聞くもんだよ」


すかさず高橋が突っ込み、私達は和気あいあいと会話を楽しんでいた。



放課後。



私と美花が一緒に家に帰り、流美の遊び相手をしてしばらくすると、お母さんからお使いを頼まれた。


「今日はカレーを作りたいから、玉ねぎと人参を買ってきてくれる?」


「分かった」


「うん、分かったー!」


美花は何かを書いていたらしいノートを閉じ、勢い込んで立ち上がる。


買い物好きな美花は、自分の好きなものも買えると分かっているからだ。


「じゃあ、2人で行ってきて」


「「はーい!」」


外に出た時の時間は約16:00で、空も暗くなりかけていた。


「あ、見て美空!雪降ってるよ!」


もう中学1年生だというのに、無邪気にはしゃぎ、空を見上げる妹。


「傘ちゃんと持って。…美花、そっちスーパーじゃないでしょ!」


雪に見とれ、違う方向へと歩き出す美花の手を取り、正しい道を歩く。


姉として、ここで美花と一緒に遊ぶわけにはいかない。


もう中学生なのだから。



雪はまるで綿あめのように降り注いでいる。


吐息と混ざったそれはあまりにも美しくて。