すぐに愛来は泣きやみ、にこりと笑ってこちらを向いた。


「はい、泣き止んだよ?」


「うん…ありがとう」


自慢げに見つめられ、私は曖昧に笑って誤魔化した。


「美空、凄く変わってる!自分で気づかない?」


私はぶんぶんと頷く。


「自分でも、分かるよ」


「うん、だって前よりも生き生きしてるもん!何ていうか、“幸せです!”って感じ?」


愛来の口調が面白く、私は思わず笑ってしまう。


そんな私を見て、


「やっぱり美空だ、戻った!」


とはしゃぐ愛来。


「愛来、ありがとう」


愛来は、すぐに私がこの前の放課後のことを言っていると察し、笑顔で頷いた。



私は、男子軍2人の方を向いた。


「陸人と斎藤君も…。この前はありがとう」


「え?…ああ、いえいえ」


問題と睨めっこしていた陸人がこちらを向き、微笑を浮かべながら手を振ってみせた。


「だって俺ら、秘密を共有した仲なんだからさ」


名言のようにその言葉を吐いた陸人は、斎藤君の方を向いてドヤ顔をしてみせた。


「うわ、うぜえ…」


斎藤君は陸人を見て、冗談交じりに笑いながら私の方を向いた。


「…この前の花束、役に立った?」


(ニゲラの花束の事だ)


あの花束のおかげで、私は美花に会えた。


「もちろん、役に立ったよ。ありがとう!」