「おはよー」


「川本、おはよう」


男子軍2人は私に向かって心のこもらない挨拶をし、その直後に勉強へと戻っていった。



「愛来、おはよう…?」


愛来に挨拶をするが、最後の最後で語尾が上がった。


何故なら、愛来が私の顔を嫌という程覗き込んでいたからだ。


「ちょっと、どうしたの?」


私は堪らず吹き出した。


その途端、


「美空っっーー!」


大声を上げて、愛来が私に飛びついてきた。


「ぎゃっ!?」


突然の事に、自分でも驚く程の哀れな声を出してしまう。


気を利かせ、斎藤君が前後のドアを閉めてくれたものの、愛来は私から離れようとしなかった。


「美空だあっっー!…ずっと、ずっと会いたかった…」


ポニーテールを揺らしながら急にそんな事を言い出す愛来に、私は若干首を傾げながらも口を開く。


「この前会ったばっかりじゃんー」


私は、私の体にひっついている愛来をゆっくりと引き剥がそうとする。


そこで、気がついた。


愛来は、泣いていた。


元々涙もろい愛来。


(急に泣くなんて、どうしたんだろう?)


「えっ、大丈夫?どうしたの?」


私は、涙を何度も拭っている愛来の背中を擦りながら尋ねる。