高橋 陸人。

彼は学年一の情報通、そして天才男子だ。

生まれつきIQが人よりも高めで、見たこと、聞いたことを全て完璧に暗記をすることができる。

陸人が言うには、“ギフテッド”と呼ばれるらしい。

常にチャラそうな雰囲気を出し、授業中に真面目に先生の話を聞いたことはほぼ無い。

それなのに、テストでは常に90点台をキープし、このあたりで起きた事なら何でも知り尽くしているのだから不思議だ。



「え、ここ高橋の席だったの?」


愛来がわざとらしく尋ねる。


「おい、ここ俺の席だぞ。川本、そうだよな?」


陸人は隣の席の私に助けを求めてくる。


「うん…」


「ほら見ろ!」


陸人は勝ち誇った様に笑う。


「高橋が影薄いから気付かなかった」


愛来が待ってましたとばかりに、にやりと笑う。


「嘘つけ、俺は騙されないぞ!」


クラス一人気者の女子の愛来と、クラス一面白い男子の陸人が話し始めたら、まさにコントの様になる。


私は笑いながら会話に花を咲かせていた。



「私はね、親友と一緒に話をしたいだけなの」


愛来が陸人の席に座りながら抗議する。


「隣のクラスの川本も親友だろ?」


陸人は人の目を気にせずに、自分の机の上に座りながら聞いた。


「もちろん!でも美空が一番なの!」