「私、こんな所に置いたっけ?」


独り言を呟きながら、私は茶色のペンを手に取り、首を傾げた。


けれどもしかしたら、私が寝た後にお母さんがやって来て、ここにペンを置いたのかもしれない。


(幽霊じゃあるまいし)


私は笑いながらペンを元の場所に戻し、交換日記を開いた。


『12月10日』


と書かれたページを見つける。


美花が最後に書いた、日記だ。


その右側のページを見る。



(えっ?)


私はまたもや首を傾げた。


次のページに字が書かれているのが、透けて見えるのだ。


「何、これ?」


恐る恐るページをめくる。


そこには、


『美空へ』


と書かれていた。


「え…」


どうやら、私宛に書かれたものらしい。


それにしても、私はこの字を知っている。


丸文字で、読みやすくて、綺麗なこの字を。


首を捻るまでもない。


「美花の字だ…」


何故、何故美花の字が書かれているのか。


今まで気づかなかったのだろうか。


そうだ、きっとそう。


けれど、私のその予想も一瞬にして砕け散った。


左上に書かれた日付は、昨日の


『2月25日』


だったからだ。