どんどん私の意思と裏腹に薄くなっている両手を見つめながら、私は言葉を失った。


きっと、自分の体も同じようになっているのだろう。


「そんなっ…」


私はへなへなとその場に座り込んだ。


(せっかく来れたのに、会いに来れたのに!)


(もう戻るなんて、嫌!)


悔しくて、悲しくて。


辛くて、苦しくて。


「戻りたく、ないよ…」


私の目から涙が溢れる。


今美空が起きたとしても、私の姿は捉えられないだろう。


だからきっと、声も届かないはず。


そう考えると、余計に涙が零れる。


滝のように流れる涙は、私の透けた両手にぽたぽたと落ちて。


「どうして…!?2時間なんて、早いよ…」


最初にこちらの世界に来た時は、そうは思っていなかったのに。


あちらの世界で知らされた時も、長いと思って喜んだのに。


何故、何故。


「こんなに、早いの…?」



まだ、まだここに居たかった。


美空と一緒に、もっと話していたかった。


本当は、もっと生きていたかった。


悔いのないように生きたかった。


心残りが無いように生きたかった。


もっともっと、家族と話したかった。


友達と、沢山遊びたかった。


こんな事になるなら、部活ももっと楽しみたかった。


勉強だって、集中して取り組みたかった。