しばらくして読み終わった私は、交換日記を元の場所に戻した。



ふっと横を見ると、私の机の端に置かれたスノードームが目に入った。


懐かしい物。


私は思わずスノードームを手に取り、軽く振ってみた。


スノードームの中で、雪が降る。


その雪はゆっくりと落ち、1軒の家に積もる。


それを見ながら、美空と2人でこのスノードームを使うはずだったことを思い出した。


「出来ないじゃん…」


自虐的に呟き、私はまたスノードームを元の場所に戻す。


美空もこのスノードームを見て、“美花と一緒に見れないじゃん…”等と呟いた事はあるのだろうか。


1度でいいから、美空と一緒にスノードームを見てみたい、なんて儚い夢を抱く。


けれど、すぐに私は首を振ってその考えを頭から締め出した。


美空はもう寝てしまったし、起こすのも可哀想だ。


起こしたら起こしたで、私はすぐに消えてしまう。


何て事を考えているのだろう。


人は、死ぬと絶対に出来ない事を考えやすくなってしまうのだろうか。


出来るはずがない、死んでいるのだから。


かといって、ぐっすりと眠っている美空を起こす気にはなれなかった。


あと少しで、私はあの世へ戻らなければならない。


その時は、美空に見られずに戻りたかった。