きっと、心がずたずたに引き裂かれる。


そう、思って。


けれど、


“もういいや”


そう思って、全てがどうでも良くなって。


開き直って話してみると、胸に溜まっていたもやもやが無くなったような気がした。



確かに、最初から本題に入る斎藤君は酷かった。


『笑ってないよ』


ずっと隠していたのに。


嘘もつき続け、私自身本当の事と区別がつかなくなっていたのに。


簡単にばれてしまって、凄く怖かった。


あの場から、早く逃げたかった。


それか、穴でもあったら入りたかった。


とにかく、現実から目を背けたかった。



けれど、何度も何度もつっかえながら話す私の声を、斎藤君はしっかり聞いていてくれた。


私の話を、聞いていてくれた。


私の心からの叫びを、彼は受け止めてくれた。


まるで、私の苦しみを半分こにしたような、分け合ったような、凄く安心感があった。


(どう言葉にしたらいいのだろう?)


こんなに沢山の言葉を話せる程、私は語彙力が無いような気がする。


しかも、美花が亡くなってから、極力人とコミニュケーションを取るのを避けていた為、口が頭に追いつけないかもしれない。


(どうしよう…)