大きな体で昇降口に立つ、まるで熊の様な先生が退き、私達は何事も無かったかの様に傘を掴んで門を出た。



幸い、外は雪が止んでいた。


4人とも出来るだけ急ぎ足で学校から離れ、人通りの多い道に差し掛かったところで足を止めた。


「美空の嘘、凄い!先生騙されたね」


愛来が私の手を握り、褒め称える。


「嘘つくの、慣れてるから…」


私は苦笑いで誤魔化す。


「それにしても凄いな!こんなに学校って楽しいんだな!スリルとサスペンスだよ!」


最終下校時刻を過ぎ、反省文を免れたことが嬉しい斎藤君が、興奮気味に陸人と肩を組む。


「いや…普通はこんなんじゃないよ」


「いやいや!俺、アメリカでそんなに学校行ってなかったから、こういうの夢だったんだよ!」


「…そうか、良かったな」


陸人は明らかに興味がなさそうで、そのままさっさと歩き出す。


「ちょっ、止まれよ」


肩を組んでいた斎藤君が引きずられながら愚痴をこぼす。


「じゃあ、私は帰るね!今日はありがとう」


愛来が手を振り、こちらに背を向ける。


「うん、じゃあね!」


(愛来、あなたが居てくれたから私は本音を言えたんだよ)



「なら俺も帰るわ、またな」


陸人は浅く積もった雪を踏みしめ、歩いて行く。