しかも、私よりも泣いたかもしれない愛来の目は充血し、その周りも赤くなっている。


先生を納得させるには、十分すぎる証拠があった。


けれど、私の目も充血しているだろうし、同じく泣いた斎藤君の目もうっすら赤くなっている。


陸人の目は特に変化は無かった。


「そうか…」


加藤先生は腕組みをして考え込む。


「まあ、勉強していたのなら…しかも、高橋も居たとなると…それに、橘が泣いたのか…」


反省文を書かせるか書かせないか、加藤先生は独り言を言いながら考えている。



1年間、皆に私の気持ちが分からないように、嘘をつき続けてきた。


嘘をつく事で、私は成り立っていた。


けれど今日の放課後、皆が私の殻を破り捨ててくれた。


本当の自分を、見つけられた。


けれど、まさかこんな所で私の嘘が役に立つなんて思ってはいなかった。


少し、嬉しかった。



「…じゃあ、今回は反省文無しだな。でも、次からは反省文書いてもらうからな」


「「「「ありがとうございます!」」」」


先生が出した結論は、とても嬉しいものだった。


本当なら飛び上がりたい所だが、そんな事をすると先生の結論が変わりそうなので、私達は無表情を必死に作る。


「明日は創立記念日だから、ゆっくり休めよ」