「おい、4人ともどうしたんだ?」


加藤先生は目を丸くして驚いている。


何しろ、学校一の秀才とも言われる陸人が混ざっているのだから。


「あの…」



考えていなかったはずなのに。


嘘がすらすらと私の口をついで出ていく。


「今日の放課後、私は斎藤君に休んでいたり保健室に行っていた分の勉強を教えていたんです」


「テスト、終わったのにか?」


「斎藤君、内容は分かっていたんですけど、ノートに取っていない部分があって」


加藤先生はなるほどと言った顔で頷く。


「2人の理由は分かった。…じゃあ、残りの2人は?」


「私達が勉強し始めて少しして、陸人が斎藤君と一緒に帰る為に教室に戻ってきたんです」


そこで、陸人が大げさに頷いてみせる。


「だから、陸人も混ざって勉強してて」


斎藤君は、陸人を見ながら


「分かりやすかったよ」


と褒めた。


「しばらくして、愛来が忘れ物を取りに教室に入ってきたんですけど」


私はそこで言葉を切る。


「忘れ物を探してた時に、勢い余って机の角に頭をぶつけちゃって…泣いちゃったんです」


ちょうど額に手を当てていた愛来は、わざとらしく額をさすってみせた。