(昇降口に居そうだな…)


私は予想しながら、2人の後を追う。



そして、私の予感は見事に的中した。


「居るよ…加藤先生だ」


壁に手をつき、下駄箱の方をのぞき込んだ陸人が額に手を当て、首を振る。


「くそ、反省文行きかよ…」


「俺の話が長かったからだよな、ごめん。反省文、頑張って」


斎藤君が陸人に謝る。


「いや、お前も反省文書くんだよ?」


「え…」


陸人の見事な突っ込みで、斎藤君は言葉を失った。


「ねえ、待って」


行動する前から諦めている2人を、私は励ます。


「加藤先生だよね?私、いけるかも」


加藤先生は私達の担任の先生。


もしかしたら、反省文を書かなくて済むかもしれない。


「頼むよ、俺らの命がかかってるんだ」


陸人が握り拳を作る。


後ろから走ってきた愛来も、すぐに状況を把握した。


「美空、頑張って」


私は頷き、下駄箱へ1歩踏み出した。


「加藤先生っ!」


先生の前に立ち、何も考えていなかったことを思い出す。


「川本、最終下校時刻過ぎてるぞ。分かってるな?」


「その事なんですけど…」


私は正面から加藤先生を見上げる。


「実は、斎藤君と陸人と愛来も居て…」


私の言葉で3人が恐る恐るといった様子で私の後ろに立つ。