「本当に?」


陸人の疑り深い顔を見ながら、私は頷く。


「うん…」


多分、嘘はついていない。


はず。



「美花ぁ…何で、隠したまま逝っちゃうかなぁ……」


突然愛来が肩を震わせ、私に抱きついた。


体制が崩れ、私達は床に座り込む。


またもや、最初と同じ様な格好になってしまった。


「愛来…?」


「何で、美花っ……」


掠れた声で美花の名前を呼びながら、私の肩を軽く叩き続ける愛来の背中を私はさする。


「愛来、大丈夫だよ……そんなに、泣かないで」


愛来が泣いたら、私まで泣いてしまうから。


「愛来…お願い、大丈夫だから……」


私の声も次第に震えてくる。


(何か、立場が反対な気がする…)


と突っ込みながら、私は愛来の背中をさすり続ける。



愛来の背中越しから陸人の困惑した表情を見て、私は声を出さずに


“ごめんね、待ってて”


と口を動かす。


陸人は苦笑いして頷いた。



そして、限界が来た。


肩を震わせて泣き続ける愛来を見ているうちに、私の涙腺も震え出して。


「愛来っ…こっちまで、泣いちゃったじゃん……」


とうとう流れ出す、涙。


今日、この場所で何度涙を流しただろう。


もう、悲しみを通り越していた。