それを見た愛来は、苦笑いをしながら陸人を見る。


「おい、まだ俺治ってないんだけど…」


ランダムに記憶が思い出される症状がまだ治まっていない陸人は、若干嫌がりながらも目を閉じた。



「っ…!」


目を閉じてすぐ、陸人が少し顔を歪ませる。


陸人の手が、微かに震えていた。


陸人は、目を瞑ったまま口を開いた。


『ねえ、美空…私達は、2人で1つだからね』

『私達は、2人で1つだよ。もしも、私が……死んでも、私はずっと美空の隣にいる』


まるで何かの台本を読んでいるようだった。


「『2人で1つ』って言ってた所だけ、抜き出してみたけど…」


陸人は首をひねる。


「これだけじゃ、意味が分からないよな…」


「うんっ……分か、んない…」


美花の話題が出て、愛来は涙ぐみながら頷いた。


もしかしたら、今日の愛来は私よりも泣いているかもしれない。


それ程、愛来は沢山涙を流していた。



私は考える。


(美花が言っていた言葉の意味は、美花にしか分からないのかもしれない)


(私も言っていたけれど、意味は知らなかった)


という事は…?


(皆が考えてる事は、無駄…?)


そこまで考えて、私はぎょっとした。