あれほど泣いたからなのか、部活に戻るつもりは無いようだ。


「お前、その場所に居たのかよ?」


斎藤君の素っ頓狂な声に、私の肩はビクンと揺れる。


「ああ」


陸人は私をちらりと見たあと、とても短く説明した。


「俺、あの日事故現場を通りかかったんだよ。そん時のことを思い出しただけだから」


「アバウトー…」


愛来が突っ込み、慌てて口を押さえた。


「ふーん…?」


怪しげに目を細めて笑う斎藤君を無視し、陸人は私の方へ顔を向けた。


「…『2人で1つ』って何だよ?」


「え…」


明らかに困惑している私をよそに、陸人は壁に張り付きながら立ち上がった。


「お前ら、言ってただろ?『2人で1つだから』って。…そこの部分がよく分かんなくてさ」


言ってた本人なら分かるだろ?と言いたげな目線でこちらを見られても困る。


あの言葉は、美花が言い出したものであって、私もよく意味が分かっていなかった。


とにかく、美花の不安を和らげようとして頷いていただけ。


聞くタイミングを逃してしまった。



「…分かんない」


「はっ?」


「ど、どうしよう…分かんない…」


次第に、声が震えてくる。