「俺が転入してきた初日、川本保健室行っただろ?あれって、雪見たからだよな?…それに、その日俺に冷えピタ貼ってくれた時も、雪見なかったよな?」


私は頷く。


「雪を見たら、川本はどうなるの?」


「美花を思い出す…」


斎藤君は続けて、と顎をしゃくる。


「…苦しくなる」


「あとは?」


「…辛くなる」


「他には?」


何故、ここまで言わないといけないのだろう。


「…悲しくて、泣きたくなる」


「それから?」


「…私が、死ねば良かったって、思う」


「…」



私は斎藤君を見ながら、涙を拭った。


「…私がこんな風になっちゃったから、愛来は凄く心配してくれた」


斎藤君は言葉を失いながらも頷く。



外からは、陸上部のガヤガヤとした声が聞こえてくる。


雪のせいで部活が続けられなくなり、もう下校するようだ。



「私が学校に通えなかった時も、毎日家に来てくれて、傍に居てくれた」


私はしゃくりあげながら言葉を繋ぐ。


「相談に乗ってくれたし、私も苦しかったから…凄く嬉しかった…」


けれど、いつからだろう。


「私が相談するのが、愛来にとったら迷惑な事なんじゃないかって、思っちゃって…」