(もういいや)


私は、全てを諦めて話し始めた。


私がどうなっても構わない。


全部全部、斎藤君のせいにしてしまえばいいのだから。



「私には、2人妹がいるの」


やはり、話し始める所はここから。


「1人、双子の妹でしょ?」


私は頷く。


「私ね、斎藤君に嘘ついてた。双子の妹…美花っていうんだけど、美花は…もう、死んでるの」


最初から“死”の話をされ、斎藤君は明らかに戸惑い、後悔するような表情を見せた。


「ごめん…」


私は乾いた笑いを浮かべる。


(もう、遅いよ)


「私が中学1年生の時…冬で、雪の日だった。美花は、私を守るために車にはねられたの」


「え…」


「美花ね、そのまま死んじゃったんだ」


明るくそう言った私。


本当の感情を、抑える為に。


「美花が居なくなってから、私を助けなければ美花は生きてたんだなって、そればっかり考えてたの」


けれど、悲しみは溢れ出る。


私の目から、涙が1粒こぼれ落ちた。


「守ってくれなくて、良かったのに……私が死ねば、良かったのに……」


嗚咽が交じる。


「川本、死ぬなんて考えちゃ駄目だ」


斎藤君が諭すように口を開く。


「人は、生きているだけで価値があるんだ」


「…死んじゃった美花は、価値が無いって言いたいの?」