机の中、自分の机の周りを何度も探しても見つからず、もう帰ろうと諦めて立ち上がった時。
「これ、落ちてたんだけど違う?」
優しい声が、上から降り掛かってきた。
しゃがんでいた私が顔を上げると、いつの間にか教室に入ってきた斎藤君が私の消しゴムを差し出していた。
「そう、これ!ありがとう!」
「ドアの近くに転がってたよ」
そんなに遠い所まで転がったのなら、見つけられないのも当然だ。
私は笑って消しゴムを受け取り、筆箱にしまう。
「ありがとう、斎藤君。それじゃあ、またね」
私がそう言い、コートを着ようとした時。
「ねえ」
不意に斎藤君の表情が真剣になった。
「ん?」
何も警戒せず、私は小首を傾げた。
「この前の話の続き、していい?」
私の机の上に、私が着ようとして持っていたコートが落ちる。
「…何を言ってるのか、分からないんだけど」
本当は、分かっている。
けれど、認めたくなかった。
だって、あの話はもう終わっていたと思っていたから。
「この前の下校中、会ったでしょ?覚えてるよね?」
私は微かに頷いた。
「…何を言いたいの?」
私は斎藤君と目を合わせられない。
「これ、落ちてたんだけど違う?」
優しい声が、上から降り掛かってきた。
しゃがんでいた私が顔を上げると、いつの間にか教室に入ってきた斎藤君が私の消しゴムを差し出していた。
「そう、これ!ありがとう!」
「ドアの近くに転がってたよ」
そんなに遠い所まで転がったのなら、見つけられないのも当然だ。
私は笑って消しゴムを受け取り、筆箱にしまう。
「ありがとう、斎藤君。それじゃあ、またね」
私がそう言い、コートを着ようとした時。
「ねえ」
不意に斎藤君の表情が真剣になった。
「ん?」
何も警戒せず、私は小首を傾げた。
「この前の話の続き、していい?」
私の机の上に、私が着ようとして持っていたコートが落ちる。
「…何を言ってるのか、分からないんだけど」
本当は、分かっている。
けれど、認めたくなかった。
だって、あの話はもう終わっていたと思っていたから。
「この前の下校中、会ったでしょ?覚えてるよね?」
私は微かに頷いた。
「…何を言いたいの?」
私は斎藤君と目を合わせられない。