そこに記されていた日にちは、12月10日。


あの日だった。


『12月10日 (木)

今日は学校の研究授業で、午前授業だった。嬉しい!

この前お父さんが帰って来て、私にお土産でスノードームをくれた。

美空も貰ってたと思うけど、確か流美にあげてたと思う。

美空、優しいな。

まあ、2人で1つのスノードーム使えばいいか。(笑)

2人で1つ!!

この言葉、最高!(笑)』


その下には吹き出しが書かれ、小さくコメントが添えられていた。


『2人で1つ っていうのは…』



続きが書かれていない。


どこを探しても、その続きは見当たらない。



また、新たな記憶が蘇ってくる。


12月10日、私達がお使いを頼まれる直前まで、美花はこのノートに何かを書いていた。


きっと、この吹き出しを書いて少しした頃、私達は家を出た。


そして、美花はこの続きを書くことが出来なくなった。


「2人で1つって、何…?」


私はノートに向かって、


どこかに居るはずの美花に向かって、


疑問を投げかける。


けれど、誰かがその問いに答えてくれる事は無くて。


私は交換日記を抱き締める。