【完】今日から、お前は俺のモノ

ーーーガラガラッ。





教室のドアが開く。
そこには……





「……めい?」

「……颯太?なんで……」




ーーーーー颯太がいた。




「いや練習しよーかなって」

しかも颯太から出てきた言葉にわたしは
目を見開いてびっくりした……



練習って颯太には必要ないかなって
思ってたから……
だって昨日のスピーチも完璧だったし……
何でもできちゃうんだもん、颯太は。



「……颯太でも練習するんだね」

「いやするだろ……」


って呆れ顔をしてから、突然キリッとした顔になって練習をして……


黙々と2人で練習を始めたーーー。
段々人も多くなってきて、
朝から応援の声をかけてくれる友達もいて…
美咲がギュッとしてくれたし……



また、頑張ろうって思えるんだ。



もう8時15分前。ホームルームが始まる前。
ホームルームが終わったら急いで舞台袖……


迫り来る時間に私も焦りを覚える。
けど……大丈夫!って言い聞かせて……


ホームルームが終わる。


私は颯太の言葉を思い浮かべて
緊張を失くして、舞台袖へと
歩いた。


もう、8時15分……。





あと15分でもうスピーチ……。
はやいよ……ほんとに…



……颯太は大丈夫かな…
チラッと颯太を覗く。



……心配損。
颯太は友達とケラケラ笑ってるし…





……っ!
パッと颯太と目が合って、颯太が
友達を横切ってこっちに歩いてくる。



「……なに?緊張してんの?」

「……別に」





めちゃくちゃ緊張してるのと裏腹に
別になんて言っちゃうし……私のバカ…


「……そ。ま、めいなら大丈夫。」

「なんでそんな言い切っちゃって…」




グイッ…





颯太が私の腕を引っ張って
みんなに見えないカーテンの中に入る


「……っ颯太何してっ……」









……コツンッ。


「お前ならぜってー大丈夫。」
「俺が保証する」



また……耳元で囁いて…
頭を私の肩に置いて……



多分……颯太なりの励まし?なのかなこれは




「……えへへっ……ありがと…っ」
「私、頑張るね……」




やっぱり顔に不安って出てたのかな……
それとも颯太だから分かったのかな?




分からないけど……
いつも颯太は私を助けてくれる
ヒーローだなぁ…





「……おう」

そう言って、私達は大勢の拍手に包まれて
全校生徒の前で堂々と
スピーチをした……

めいは明らかに不安そうな顔をしていて
こっちを一瞬見たから……





引っ張ってカーテンで誰にも
めいが見られないように……って





俺なりに励ました…つもり。




伝わったかわかんねぇけど…な。





しかもその後5分とせずに始まるし、、

多くの拍手の中に俺たちは包まれて
ステージに上がる。



淡々と進んでいく司会に
女子は残りめいだけ。



……めい大丈夫かよ…。




不安……だけど……
チラリとめいを横目に覗く。






……っ!!

……これだから目が離せねぇんだよめいは。





そこには周りを引きつける凛とした
キッとした目。
生徒の皆には一切緊張してることを
伝わらせないような、強いめいの姿があった






「お次は……花崎めいさん!!」
「スピーチをどうぞ!!」
その司会の声で全校生徒がめいが
大きな拍手の中で壇上に立つ。



その姿は……
いつものめいからは想像出来ない姿でーーー





……。
俺も、カッコイイって思うよ、ホントに。






「まず、私は
沢山の人に支えられて今があります。
小さな頃から支えてくれた幼馴染。
今を支えてくれるクラスの皆。
私を応援してくれる、先生方。
その期待に答えるべき、精一杯努めます!
私は……」





やべぇ。めい、かっけーよ!!!
初めて……こんなめいを見たわ、俺。




もうダントツのめいのスピーチ……
他の立候補者がもう下を向いてるし…




「…投票よろしくお願いします!」
めいのスピーチが終わった……。



……。




生徒は拍手の手が止まる。
それから……





パッ……パチパチパチ!!!!





どのスピーチ者よりより
大きい拍手が会場を包む。




めいはほっとした表情で……
「素晴らしいスピーチでしたね…」
司会者もめいのスピーチに予想外すぎて
驚いてタジタジだ。






……っはぁ……俺も頑張ろう……





「お次は男子で 綾瀬 颯太さんお願いします」

「……っはい!」






キャァーッ!!!
……パチパチパチ!!

奇声と拍手に包まれて
俺は無事に
スピーチを終えたのだった。
なんとか無事に生徒会総選挙も
スピーチは1時間目に終わり、





……結果は7時間目だ。





教室に戻ると、めいのスピーチが話題に
ざわざわとなっていた。




「めいちゃんカッコよかったよね〜」
「うんうん!しかも可愛いし……」

「花崎さんやべぇ!!」
「それ!!!マジ惚れたわ俺……」
「……俺もだわ」





なんて声が聞こえて……
なんだか心がザワつく、俺。





「おかえり。颯太スピーチよかった。」
玲於が照れながらそう言う。


……なんかこっちまで照れるわ…



「まぁな?俺だからな?」
なんて軽いジョークを飛ばしながら…





「颯太ぁ!!雛ねぇ、颯太のこと好き!!」
って飛び込んでくる、雛。


それからも、クラスの女子、他クラスの女子
「颯太君、おつかれ〜凄かったよぉ!!」
「颯太君って何でもできるんだね」
とか……








俺は見せ物じゃねーけどな…


と思いつつ、


結果まで俺たちはじっと待った。
そんなこんなで7時間目。



スピーチから女子の塊が俺を囲み始めて
めいに話しかけれない始末。




って……めいも男に囲まれてるしな……。

クソ……俺が1番話しかけてぇのに!!!





玲於は普段来る者拒まずの
誰でもイチャイチャしてるのに今日に限って
「颯太、褒めてやって?」って女の子を
俺の方に寄せやがる…




俺は、
他の女の子の大勢が俺のモノより、
めいだけが俺のモノになれば






めっちゃ幸せ……っ……






なんだけどなぁ……

もうあっという間に7時間目。
私はスピーチを終えて教室に入ると……




「花崎さん!!!」
「めいちゃん!!」って私の名前を呼ぶ
クラスメイトが集まってきて……



結局、まともに美咲と颯太とも話せないまま
もう、結果発表の時になってる……




結果発表はまた体育館でみんなの前で
行われるし……なんか大げさだよなぁ……

ザワつく体育館に、




「はいはい、みんな黙って」
「今から……早速結果の方を発表するから」
そう言ったのは優香先生。




優香先生の言葉一瞬で体育館は緊張感が漂う




……っ。
心の準備が……っ。




「……よっ。」

「……っ!!……颯太!!」



こんな時にも
後から話しかけるのは颯太で。




「……緊張、だな。」




って珍しく真剣な顔で言うから……。
もっと緊張する……。




「……うん…」




でも、なんだか颯太といると
大丈夫だって安心出来るんだよなあ…





「……えっとー男女同じクラス……?」




その一言で静まった体育館が再びザワつく。




だって……
男女同じクラスから立候補したのって……











ーーーーーー私達しかいないから。